ベースボールキッズ

ベースボールキッズ [DVD]

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●子役メモ
落合扶樹 おちあい もとき 1990年7月11日
佐保祐樹 さほ ゆうき 1988年12月23日
大高力也 おおたか りきや 1991年8月27日
村田将平 むらたしょうへい 1991年2月13日


●扶樹チェック(←アホです。)
リンチで抑えつけられる扶樹君は「新・愛の嵐」の猛を思い出しました…似合うよなぁ、こういう役。(笑)

ラストはびっくりするけど、扶樹ファンは楽しめる映画だと思います。キャラクタのポジションも良いし、ぶっちゃけ彼が一番オイシイ役だと思う。メイキングの素顔は必見。

翼の母親役の藤田明子さんとは「アイ・ラブ・フレンズ」で共演しています。そう言えばあの役も「野球少年」でした。何とも不思議な偶然。

藤井君役の佐保君の出演作に「Hogi-LaLa」があるのでこちらも共演なんですが…えっと…魚獲りを教えてくれた子か、銀髪のろりこん(失礼な)か…ノーチェックでした;いつかまたホギララを見たとき確かめたいです。


●感想
真面目にコメントすると、勿体無い映画だと思う。
子ども達の演技は見ていて微笑ましく、野球に打ち込む少年たちを取り巻くストーリーも題材として悪くない。だが、台詞や展開に矛盾点が多く、全体を通して見終えた時にもの足りなさが残った。

・・・・・以下存分にネタバレ・・・・・


一番勿体無いと思ったのは、金田(落合扶樹)が残した「退部届」が読み上げられるシーン。チームメンバーひとりずつの特徴を捉えてアドバイスしており、本来ならば「そこまでチームの事を考えてくれていたのか…」と、感動する場面なのだろう。


しかし、大会が始まるまでの数週間の金田は、翼(大高力也)の特訓こそすれ市原ジャイアンツのメンバーと一緒に練習していないのである。


最初のうちは「描かれていないだけ」だと思っていた。きっと練習はきちんとこなした上で、早朝や練習後にこっそりと特訓をしているのだろうと。しかし、金田と翼は大会前の大事な練習試合まで休んで神社で特訓をしていた。大会が始まってようやく翼以外のメンバーとも打ち解け始め、金田を中心に優勝を目指して練習をしようと盛り上がるが、結局 メンバーとの練習風景は描かれないままに終った。


私にとって その描写不足は致命的であり、「退部届」を胡散臭く感じるのに充分な要素であった。


練習前の早朝、藤井(佐保祐樹)との対決を前に金田は優しく笑う。
それは(状況はどうあれ)「初めてみんなとプレーできる喜び」をかみ締めていたように思えた。


また、後半では、退部を決意した金田が「(監督や園長先生に)頼まれたからジャイアンツに入ったんじゃない、皆と一緒に野球がしたかったんだ」と藤井に言った事からも、金田は「共に野球をする仲間」を欲していたのではなかったのだろうかと思うのだ。


翼が練習に来なくても、藤井の酷い目に合わされそうになっても、恨み言ひとつ言わなかった金田の忍耐強さと優しさが皆を変えていったのだから、そこへ繋がる彼の過去、彼の背負った孤独も描いて欲しかった。




金田の孤独、と書いたが、この作品で金田は常に孤独であるように見えた。

金田の両親に関する悪い噂が流れた時、騒ぐのは保護者で、最終的にそれを収めたのは先生(布施博)。大人が騒いで、大人の間で話し合って片付けられてしまった。


そして、あれだけ金田に世話になった翼すらも、その問題を解決しようとはしない。
「会ってもないのに」と親に口答えをしておきながら、実際は何も知らないままほったらかしなのだ。結局、チームメイトは誰も金田を庇う事無く、本人が自分の生い立ちを語ったのは、一番親しくしていた翼ではなく、結果的にピッチャーという居場所を奪ってしまった藤井を説得する時なのである。


金田は、前半は翼に、後半は藤井と関わる事で市原ジャイアンツを変えていく。
身体を張って金田をリンチから救い出した藤井(←けしかけたのも彼だが。/笑)に比べて、翼の受身すぎる態度が物足りない気がする。




…という訳で。

作中には、子ども同士だけでなく、子どもと親の触れ合いも描かれています。
親に溺愛されているシゲちゃんと、それを道端から見つめる藤井。藤井の母親はどうやら非常に多忙なようで、帰宅するとテーブルの上には置き手紙。内容は「晩御飯はレンジでチンしてね」…お約束。一方の翼の父親は頭ごなしに子どもを叱りつけるタイプ。近所に蔓延る金田の親に関する噂を信じ込み、挙句の果てには「大人にはわかるんだよ!」と一蹴。これまたお約束。気持ち良いほどのど真ん中のストライク。ある意味で、期待を裏切らない展開と言えるでしょう(笑)


そういった「家庭」と、ぶつかる相手すらいない金田を対比するシーンがあったら良かったなぁ。


あと、ラストがもの凄く不満。
翼は、金田との特訓の甲斐あって、大会の第一試合でフライを見事にキャッチ。エラい即効性のある特訓だったんだねぇ…と思っていたら、肝心要のラストのボールを取り損ねてしまいました。もちろん、そのミスで翼が責められる事はありませんでした。

それでも、試合結果だけを見ると、藤井達が金田に言った「エラーするやつがいるチームは優勝できない」という言葉に間違いはなかった事になってしまう。翼があれだけ必死にした特訓も、皆が「金田のためにも」とがんばった試合も、金田が望んだ「優勝」には繋がらなかったのは残念です。


お約束が多い中で、唯一裏切られたのが、このラストでした(苦笑)


良かった点は、演出が大げさで無い事。
例え天才・金田の投げる「豪速球」であろうとも、役者が投球し、そこから数カットに分けてミットに収まる瞬間を映し出す事で「豪速球」に見せている。そのアナログな手法が、子どもたちの等身大の演技と上手く調和していたと思う。


うーん。
扶樹君の存在が輝くのは、一流に演技の出来ている俳優・女優の中で演技している時なのかもしれない…。