Soundtrack

Soundtrack [DVD]

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●公式サイト : http://www.kss-movie.com/soundtrack/


●子役メモ 落合扶樹 おちあいもとき 1990年7月11日


●扶樹くんチェック
「主演の男性の少年時代」という事だったので 5分も映れば良い方かな と思っていたのに、全編通して少しずつ過去が描かれていたため、各所で見ることができました。それにしても 扶樹くんは、本当に不幸な役が多いなぁ(苦笑) びらびらしたブラウスにキャスケットという一見アンバランスな衣装が見られるのも、ファンタジー色の強いこの作品ならでは。


●感想
洋館で暮らす兄妹がいた。
兄は志音(SUGIZO)というバイオリニスト、妹 美砂(柴崎コウ)は絵本作家(※本当は童話作家らしいのですが…)。美砂は とある事件が原因で声を失っているため、志音との意思疎通はスケッチブックを使った筆談で行なう。時折かかってくる仕事の電話以外に訪れる人間もいない閉鎖的な空間には 志音の奏でるバイオリンと、美砂の ガラスのペンが紙を滑る音が響くばかり…


・・・・・以下存分にネタバレ・・・・・


言葉できちんとは語られない部分が多いので、「きっとこうだったんだろう」という感覚のまま話が進んでいきます。現在も過去も「事実」が曖昧。彼らの現状に関する疑問に加えて、過去の不可思議な状況、その強すぎる世界観…とてもじゃないけど、ストーリーには入り込めませんでした。しっかり見ていても置いてきぼりをくらいそうになる作品。見終わって、説明するのが非常に難しい。


二階監督は、それまでミュージックビデオ(PV)をお作りになってだけに、言葉じゃない部分…演出や影像の美しさが素晴らしかったです。画面の雰囲気に圧倒される。声を失った美砂がスケッチブックに綴る言葉は、簡単に口にできないだけに重い気がしました。


だからこそ 動く写真集…というか、ひとつのシチュエーションに込められた意味があって、それを繋げていったらものが、この作品なのかもしれません。去年「ラスト・クォーター」で見た影像の「元」というか…二階監督は 輪廻とか共鳴とか、そういった運命のもとに出会うものを描くのがお好きなのだろうなぁと思いました。


あと、SUGIZO氏演じる志音がバイオリンで奏でるメインテーマが「Hogi-lala ホ・ギ・ラ・ラ」( ●公式HP● )のメロディと ほぼ同じだったので、作品に関連性があるのかな?とも思ったけれど SUGIZOさんの曲だからただ単に似ているだけのようです。


以下、へんたい的感想。


扶樹君演じる少年の志音がたまらんです。
扶樹くんはこの時11歳?この作品では、やはり 赤い魔物(山口小夜子)に襲われた時の「恐怖」の演技が印象的でした。その後で 家の中、沸騰するポットを前に呼吸を乱して怯えている様は絶品。浴びた血が乾き、顔は引きつって、足元には少女の身体が転がっている。なのに、志音は沸騰する湯を前に、ただただ呼吸をするだけ。…何だこの状況…と思いつつ、暗闇でらんらんと輝き扶樹くんの瞳に吸い込まれてしまう。


赤い魔物との対峙シーンでは、目の前で両親を斬られ 魔物の自傷によって頭から血を浴びてしまうのですが、その画が 残酷で美しい。少年を血で染め上げるなんてのは悪趣味だけど、この作品にそんな 後ろめたさはありませんでした。(すみません…)


殺戮のシーンで、少女にその光景を見せないように 目を両手で覆ってあげるのとか、人形劇に震える少女を安心させようと 手を繋いであげるのとか、子どもらしい一生懸命さも見られて大満足です。新・愛の嵐での見せてくれたお嬢様溺愛ぶりを彷彿とさせる表情もちらりと見えた。扶樹くん+ちっちゃい子(特に女の子)の図は可愛くていいなぁ。髪の毛のお手入れしてあげてる様子がアップで見たかった。


最後に、一番大事なことですが、私は 好きです。こういう作品。