月のかたち。

「昨夜の月はどんなだったか知ってる?」と、講師が聞いた。
少しざわついたけれど、それでもはっきりとした返答は聞こえない。「どうせ君たちマンガやテレビばっかり見てるでしょ」と言わんばかりのその様子が、妙に印象的だった。


私の場合は、バイトの帰りに通り抜ける公園で月を見るのが日課になっている。ある友人は喫煙スペースが無いために 講義棟の外でタバコ吸う時に月(もとい夜空)ばかり見てしまうらしい。


それでも、月を見るのは形を確かめるためじゃない。別に誰に報告するでもなく、覚えておくためでもない。


・・・視界に入っていても、特に反応しないものもある。そこに悪意はない。この質問に、返事が無かったのと同じことなのかもしれない。