独立少年合唱団

独立少年合唱団 [VHS]

独立少年合唱団 [VHS]

合唱や寄宿舎での生活よりも、1970年代という時代の余波(によって起こる事件)の方がインパクトがあったなぁ…。ソリストの伊東を演じる藤間宇宙(とうまそら と読むのだそうで)くんの雰囲気が良くも悪くも強すぎました。御法度で松田龍平を始めてみた時の感覚に似ている気がする。


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・* 以下ネタバレ *・
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内容はー…吃音の主人公 柳田(伊藤淳史)と、美声の伊東(藤間宇宙)の友情、と とれば良いのだろうか。色々詰め込まれていて迷います。結局伊東の最後の言葉「歌おう」は、冒頭で主人公の父親の最後の言葉と繋がるのかな…?走馬灯から思い起こされるものについて、柳田くんは いちおう考えていたようだけど。


吃音と声変わり、という声に関する悩みによって立場が逆転するという対比的な描き方は良かったです。でも、楽しそうに歌う姿がほんの少ししか見られなかったのが残念です。合唱で革命を応援したい という伊東の気持ちは、外の合唱団員に あれだけの事を要求した練習を正当化する理由にはならないと思う、な。


印象的だったのは「ぼくの声になって」というフレーズ。
単なる台詞ではなく、静寂の中での筆談だったせいか その言葉だけが切実に響きました。あと、所々でとても綺麗な画がありました。筆談をしていたシーン・・・薄暗い教室の中に2人で蹲って、夥しい枚数の言葉(を書いた用紙)が周囲を囲んでいる画面と、くっきりと山の輪郭を映す池に 学生服のまま入って行くシーンは特に綺麗です。


他のセットや風景(四季)、髪型への気遣いも細かい。
寝室(大部屋)のシーンでは、「さよなら子供たち」の寝室のセットがずらりと並んだ簡素なベッドだったのを思い出しました。国は違えど、同じような施設では同じようなレイアウト(もしくは機能)を持ったものがあったのかなぁ。関係ないけど、転校初日の就寝シーンの「どどどど…」という声の波を、宮澤賢治の「風の又三郎」の「どっどど〜」と勘違いしました。いじめかよ。


主人公らの在籍する独立学院が男子校なので、登場する女性の描き方が やはりどこか性を強調していて、どうかなーと引いてしまいました。それでなくても伊東くんが艶めかしいのに(…)、それ以上そんな要素を盛り込まなくても…そして どちらもあまり良い結果にならなかった辺りが気になりました。