ゴールデン・デイズ / 高尾滋
- 作者: 高尾滋
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: コミック
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主人公は相馬光也くん。
祖父の危篤に駆けつけた病院で階段から落下する、その「瞬間」とも思える時間に 彼は不思議な声を聞く。次に目を開けた光也が目にしたものは路面電車に人力車、袴姿の女学生と、しょっぱなから大正浪漫な小道具(大道具?)満載。
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・* 以下ネタバレ *・
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タイムスリップした先が大正十年で、それも自分の祖父と間違われてしまって 記憶喪失として扱われそうになる光也。落ち着きの無いひとのように見えるけど、実際に主人公のキャラクタが明確にならないままタイムスリップしてしまった気がします。
ちょっと病んでるお母さんがいて、その原因は自分に誘拐された過去があって、バイオリンが好きで、現在・過去で子どもを助けてるから子ども好き…か もしくは正義感が強い。意図してそうなっているのなら 回想というかたちで相馬光也のエピソードがあるんだろうけど、大正時代のひとびとと同じくらい 見えてこない。
そして疑問なのは、果たしてジイちゃんは 実際にあのタイミングで家を出たまま帰らなかったのか という事。もし違うなら どっかで拉致されててもおかしくないような気がする(笑)。あとビショップと光也の母親が似ているのは何かの布石でしょうか。母親の「病」は血筋とかかな。
あとー、ちゅー(ほっぺのもくちうつしのも)は 特にどきどきはしないのですが、嘔吐に色気を感じる私は病気かなと思いました。ボロボロになったり弱々しかったりしている時の看病とかフォローに弱いのです。
今回改めて思ったのですが、高尾先生の凄い所は ギャグでもどんなシーンでも画面が下品にならないところだと思います。これでこそ少女漫画。ただ、感覚が独特…というか、コマからコマへ移る間に変化があるので行動が唐突に思える事がしばしば。何だか小説で行間を読むのに似ている。あと、絵柄が似ている訳ではないけど喜多尚江さんを思い出しました。
しかし設定が設定なので(現在でジイちゃん危篤)、もし彼にメッセンジャーとしての役割を与えるのならばそんなに長い話しにはできないよなぁ…。
実は 読んでいる間に色んなものが脳裏をよぎりました。
高尾先生自身も好きな 宮部みゆきさんの「蒲生邸事件」(←これは行き着いた時代は昭和でしたが)とか、まるマシリーズ(←行き着いた先は…ってコレはもう別ジャンルだけど)とか…あと、高尾作品の名シーン・名台詞が各所に見られるところも興味深いです。人形芝居(近未来に和装のアンドロイド少年)の時も考えましたが、大正時代のようなまだ文化が混在しているものがお好きなのかもしれない。