鋼の錬金術師 13巻 / 荒川弘

わー、はまぞうだと特装版の写真って特典のイラストなんですね。
ガラの悪い赤ずきんちゃん*1が表紙を飾る鋼の錬金術師 13 (ガンガン コミックス)巻、収録されている話がちょうどシャンバラ映画やらFF7ACやらでガンガンを購入していた時期のお話なので半分くらい内容は知っていたのが残念でした。


何だか周りから通常盤を買ったという言葉を聞いてトランプってそんなに需要ないアイテムなのかなぁなんて心配になってしまいましたが(苦笑)、アレかな、使える場所がないから要らないってことなのかな。


絵入りなのは各スートのエースとジャック、クィーン、キングの4種、それにジョーカー2枚の計14枚。やっぱりスペードのエースのエドが一番いいなぁ。リンとヒューズさんのも良かったです。バックプリントの錬金術師のモチーフもかっこいい。


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・* 以下ネタバレ *・
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例によって今回も号泣です。
「身体」を欲して叫ぶクセルクセスの民と、彼らを気遣うエド。その頭をなでる手、エネルギーとして消費(殺)されて呟かれる「ありがとう」という言葉…上手いなぁ、荒川先生。エドの錬成のポーズが神への祈りに似ているというなら、その腕を介して円環するエネルギーのように、いつかまた肉体ある人間として彼らがこの世に戻ってこられることを祈るばかりです。


その後の、アル(の肉体)との再会シーン→アル(魂@鎧)との再会シーンは、もう言葉が無いほど号泣。下向いて読んでられないくらい ずびずびでした(きたないよ)。


てゆうかさ、黒シャツ着た兄さんは男前度2割増だよね。
リン担いで移動するとことか、無駄に侠気に溢れててシビレました。あと、アルと一緒にいないときは更に1割増しで男前になってる気がしますよ…!いいなぁ、私も鎧の頭なでなでしたい(…)。


今回はキング・ブラッドレイ大総統のお話が興味深かった。
これ、もう少し時間かけてやって欲しかったなぁ…ブラッドレイはアニメで柴田秀勝さんが声をやっていらしゃった事もあって、お気に入りキャラのひとりだったりするのです。


既に人間として存在する男をホムンクルス化する目的は何だったんだろう。
ホムンクルスを作り出した後に そういう試みをしたって事は、術者の方に「魂」あるものについて何か思うところがあったからなのか、それとも単に人間の上に置くから同種のものにしたかっただけなのか。歳をとる肉体が必要なだけならどうにでもなりそうな気がするしなぁ…。


ところ変わってエド&リンVSエンヴィー。
「戻るべき肉体を失って――」の件りは、変態するホムンクルスのなかでも擬態を特殊能力として持つエンヴィが言うのは、何だか矛盾している気がする。賢者の石を核にして造られた存在は、やっぱり人間外の「何か」になってしまうように思います。かつてラストも自分を人間だと言って憚らなかったけど…「理屈で考えろ」と言える立場じゃないよなぁ、エンヴィー*2


今回 ついにエドが賢者の石を使って錬成をしていたけれど、ちゃんと練成陣(構築式)を書いていたのが意外でした。私の中で、賢者の石は存在そのものがデウス・エクス・マキナ的なものになっていて…実際ホムンクルスの体内では石だけで修復(再生)までしていたようだったので、これまた都合よく 他に何もなくても練成が行なえるものだとばかり思ってた。


連載初期のエドとアルの旅の目的は、この石を探す事でしたね。
人体錬成に失敗し、代価として肉体を失い、それを戻すためのひとつの案としてでしたが。もし、教主をぶちのめした頃のエドが石を手に入れていたら迷わずアルと自分の身体の為に使っていたんじゃないかと思う。


マルコー氏のレシピ(研究書)で知った原材料のエピソードの頃には決まっていた事だけど、あの子たちの倫理観が幸か不幸か人並にあるものだから 石を使うこと、それを求めて生成することができない。そこへ追い討ちをかけるようなエンヴィーの身体(クセルクセスの民)と、あの声でしょう…エド*3が責められるべきは母親の人体錬成に関することだけだった筈のに、いつの間にか錬金術のダークサイド、敵側の悪行を同業者としてなすりつけられてる気がして辛い。


何度も決意して揺らいできた2人、11巻で実際にアルが「他の人が犠牲になるなら ――」という言葉を口にしていたけど、賢者の石を諦めたとして別の方法なんてあるのかな、と考えてしまいます。


真理の扉の前で見た、一糸まとわぬ姿のアル(肉体)。
その痩せこけた頬、筋ばった四肢、あばらの浮き出た胸と腹。
以前、荒川先生が「食べさせてもらってないみたいでかわいそう」という思いからキャラクタの肉付きをよくしているというコメントをしていたので、あの描写は彼女のなかで一番「見てて辛い」演出なのかもしれないなぁと思いました。



●おまけ
挟まれてたDVD「プレミアムコレクション」のチラシの「こども篇」の項。

2005年夏、東京。子どもたちのはしゃぐ声…。
彼らが向かう先には…。

…デジタルゲートオープンに一票(番組が違います)。
いやでも何ですか「こども篇」って。舞台が日本って。それってもはやパラレルなどーじんしじゃないですか。

*1:や、紛うことなくエドですが。

*2:彼自身は自分のこと化物だと自覚してるんだろうけど

*3:もちろんアルも