鋼の錬金術師 15巻 / 荒川弘

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師(15) (ガンガンコミックス)

カバー折り返し部分で、イシュヴァール殲滅戦を描くにあたって実際に戦場に向われた方々にインタビューしたとのコメントあり。そういう舞台裏を明かす是非は別にして、ああ本当にこのひとは漫画家さんだなあとしみじみしました。荒川先生には、連載が増えても、原作(原案?)付きでも、このままの勢いで漫画を描きつづけて欲しいです。

…えーと。
ホークアイ中尉って、あのひとの孫娘じゃなかったんだっけ…?あれ?あれはガイドのミスだったのかなー。おまけ4コマのアルの台詞が見事なくらい はっきりと くぎみゃーさん声で脳内再生される私は間違いなく病気だと思います。最近神楽(銀魂)で腹黒な台詞を聞きなれてしまっているからかなー。

そしてあまり咎められていませんが、自らの研究を秘伝として うら若き女の子の身体にしるした(彫ってるんだよあなあ…多分)事はホムンクルス勢以上に どうかと思った。マスタングとの関係性はわかったけど、彼女が父親の研究(と、それを伝える事に対する責任)を受け入れた理由がどうにも納得がいきません。自分の無し得なかった事を子や孫にさせようってのはどうよ、と天津影久*1も言っていたでしょう。錬金術師ではない娘に ある意味で凶悪な兵器でもある研究結果を丸投げする男にイライラしっぱなしでした。


「戦争の話」を、直接経験者の口から、肉声で聞くと言うのは 本当にあと数年、数十年で叶わなくなります。育った場所が広島なので、学校行事としてそう言った「貴重な体験」を何度かしましたが、オーストラリアのRSLという退役軍人限定の会員制クラブで帰還兵(Veterans=ベテラン)の方々とお話する場を(これもまた学校に)設けて貰った際に「家族(子どもや孫)に、(戦争の)体験談を語り聞かせたりはしますか」という問いに、否という答えが帰って来た事に当時は戸惑いました。

もちろん、国や立場の違う両者は比べられる立場ではない と分っていても、「二度と繰り返さない為」に傷痕を見せてその非道さを語る事を是としている事が、どこか寂しく思えてしまう。本当に共有するべきものを取り違えている気がして、やるせなかった。