ネバーランド / 恩田陸

ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)

年末の寮に残った3人と飛び入りで参加した1人、合計4人の男子学生の数日間を描いたもの。普段より少人数のコミュニティで、学校の教室とは別の役割を割り振られて「居場所」を得る、という部分が面白かったです。


ジュブナイル小説…というのかな。
学校(と、それに付属する場所や行事)における少年少女の心の揺れ動きは、恩田陸さんの得意分野ですよね。この作品は他の学園ものよりも生臭いというか…恩田先生が光浩のような少年を描いたという事に驚きました。今まで読んだ作品は どれも潔癖そうな子たちの青春だったので。


男子寮の「女役」で既に死んでしまっていて あるひとに密かに思いを寄せていた という岩槻の描写に、これはもしや…と思っていたら、あとがきで「トーマの心臓」について 少しだけ触れられてしました。恩田版「トーマの心臓」も、読んでみたかった気もします。


美国がひとの話を聞いて すぐにその情景を思い浮かべる癖(?)は想像力豊かだとは思うけど、何度も出てくると苦しいものがあります。見てもいない場所や光景を、彼の想像こそが真実(過去の事実)であるかのように描写されていたのが気になりました。