赤緑黒白 / 森博嗣

赤緑黒白 (講談社文庫)

赤緑黒白 (講談社文庫)

Vシリーズの最終作。
読み終わったら 何だかムズムズしました。片付く(決着がつく)だろうと見込んでいた事の殆んどが やんわりと投げられたまんま終わってしまった。おおお もどかしい・・・ けど、その足りなさが次作(別シリーズ)に手を出させる原動力になっているような気もします。


さて。次は四季シリーズ。
文庫化はまだ先なので その間にS&MシリーズとVシリーズを もう一周くらい読み直してから挑んだ方が良いかもしれない。


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・* 以下ネタバレ *・
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アナグラムや影武者(?)のしかけについては途中で気づけたけど、やっぱり殺人の動機というか、動機のない殺人(←我ながら正しくない表現だと思う)に対して思考するのは難しいよなぁと思いました。シリーズを通して紫子を筆頭に「理解できない」と言わせているので 理解できたら、それはそれで危ないのかも知れないけど(苦笑)。


林さんが語った「責任」に関する概念は、ミステリー小説の読者の持つ 明確な動機や推理に対する欲求と似ていると思いました。話は変わりますが、最後の、のし の名前について理解できなかったのでググって見たら、ひっくりかえりました。そうだったのか…!


ところで。
赤緑黒白」、音読みすると「セキ・リョク・コク・ハク」
コクハク(告白)、という音の響きが妙に気になっていて作中で重要な告白*1があるか、もしくは 微妙な人間関係を変化させるような愛の告白でもあるのかと期待していたのですが、あまり そういうものはなかったなぁ。練無の涙にはちょっと驚いたけど。


冒頭の保呂草さんの語りの中に練無と紫子の関係を「引力」と表していたのは、今回離れて行った保呂草さんに「斥力(セキリョク)」が働いたからかなー…なんていうのはこじつけかな。あ、もしかして練無(N)と紫子(S)だから引力?悶々。

*1:特に「書いている」保呂草さんの。