夏と花火と私の死体 / 乙一

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

と言う訳で、ブックマーク欲しさに購入した1冊。
乙一さんの作品は「失踪HOLIDAY」を読んだ際に「ちょっと合わないかも」と思って以来 敬遠していたのですが、この作品は面白かった。執筆時の年齢は16歳という、乙一先生のデビュー作。

表題作の「夏と花火と私の死体」は、まずタイトルのインパクトが凄い。
夏、花火という懐かしい響きの言葉から、いきなり「死体」という不穏な言葉がつながる。そのギャップは作品本編にも感じられて、日常の延長として描かれている 夏の出来事、子供たちの様子がたまらない。

田舎の風景を瑞々しく描き出しているものの、文章そのものは癖のないさらっとした印象。伏線をしっかりと書き込み、きちんと回収されるのが心地良かった(←最近回収しない作品が多いから/苦笑)。しかしシャレにならないオチだったなあ…こわいこわい。

同時収録作の「優子」も雰囲気が良くて気に入っています。オチよりも、登場人物たちの生活の描写が良かった。上手いなあ、と思わずしみじみ見入ってしまいました。乙一さん作品は まだまだ未読のものが たくさんあることを考えると、ちょっと嬉しかったりします。

解説が小野不由美先生だった事に驚いた。そして その誉めっぷりにも驚いた。