スカイ・クロラ / 森博嗣
映画化だそうですね。
1冊目のスカイ・クロラのきれいな装丁*1に惹かれて単行本を所持していたものの、ストーリーに馴染めなくて ナ・バ・テア以降に手を出せずにいたのでした。
ニュースを見た日に たまたま図書館で見つけたので借りて読みましたが…うーん。やっぱり夢中になって読めるものではないかもしれない。正直に言うと森作品の改行しまくりモノローグは総じて苦手です(嫌いではない)。狂気じみててこわい。あの雑じった思考は人間らしさそのものだけど、文字で読むとこわいんです。
でも、このシリーズは思考ダダ漏れなのに きたなくない(冷たいとか粘度が低いとか、いろいろ言葉を考えましたが どれもピンと来ない)。ともすれば戦争とか落ちて行く戦闘機の中にひとがいる事すら消えてしまいそうな静かな爽快感がありました。草薙(というよりもキルドレ)の変化に合わせて周囲の雑音が増えていくのが非常に腹立たしくなってくる。呑まれやすいだけか。
戦闘機と言えば、動きのひとつひとつを改行して流れるように描写しているシーンは絵コンテを思わせる簡潔な表現が良かった。あの なめらかさは活字だからできるんだと思います。色や音で視覚的に煩くなると味わえない感覚だと思ったので、アニメになるのがちょっと心配で、しかし楽しみでもあります。モノクロとかサイレントっていうのは安直すぎるけど、あの雰囲気を映像化できたら凄いと思う。
残るは「クレィドゥ・ザ・スカイ」のみ。読み終えたら、自分のスカイ・クロラを再読しようと思います。