水が氷になるとき / 西炯子

水が氷になるとき (小学館文庫)

水が氷になるとき (小学館文庫)

タイトルと表紙(←表示されない。アマゾンさんガンバレー)に惹かれて購入。


「水」が「氷」へと変わる瞬間とは。
タイトルを見た瞬間に 密やかで繊細で、とても危なっかしいイメージで頭がいっぱいになっていたのですが…まさにその通りでした。意外だったのは、ふんだんにギャグが散りばめられていた事。


シリアスとギャグのギャップが独特のテンポを作り出していて、何度も読み直してしまいました。これは嶽野シリーズ、というのでしょうか。主人公の嶽野くんが色んな意味でアブノーマルなのですが、それがキャラ萌えという方向には伸びないのが新鮮だった。


内容はー…上手く感想が出てこないけど、色々と考えさせられた。
こなみ詔子さんの「コインロッカーのネジ」を読んだ時にも同じ事を思ったなぁ。古き良き時代、とは言いたくないけど*1「萌え」という感覚のない時代の漫画というのは、とても真摯に人間性やドラマを描いていたのだなぁと思わされます。絵(人物や背景)が綺麗とか、整っているとかじゃない、全体の画面の深さに惹かれました。


西炯子さんは、「三番町萩原屋の美人」の表紙を見て 綺麗な色遣いだなぁと思っていた程度で、実際に漫画を読んだのはこれが初めてでした。いつもの事ですが、勿体無いことした・もっと早く読んでおけば良かったと、ちょっと後悔。余談ですが、なんとなくだけど杜真琴さんのルーツがここにあるような気がしました。

*1:そもそも 時代によって何が「良い」かは変わるのだし、普遍的な良さを「現代」の時点で決めるのはどうかと思う