今夜はマのつく大脱走! / 喬林知

読んだのは随分前…10月末です。今更の感想。
まるマ三冊目で 一人称小説にも、このシリーズの独特のテンポ(例えシリアスな場面でもアレはアレなとこ)にも随分慣れてきたと思う…けど、やっぱり最後の方の上様登場シーンには違和感を感じてしまいました。


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・* 以下ネタバレ *・
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長男が壊れて面白かったり陛下がせくはらされたり手錠ぷれいだったり、というメインはすっ飛ばして(…)次男と三男のやりとりに転げ回った巻でした。陛下とヴォルフラムさんの言い合いとは違った漫才的な面白さがあります。コンラートが余裕のあるひとだからでしょうか。


ヴォルフラムさんが生まれた時のエピソードが良かったです。テレビアニメ(再放送)を先行してみているせいかコンラートに対してどうにも親近感が沸かなかったのですが、あの たった数行で納得してしまいました。私の中で良いひと判定。


ええと。
今作でもヴォルフラムさんは それはもう我が儘で傲慢で でもどこか抜けていて可愛かったです。陛下とは中盤まで離れ離れだったけど、終盤で弱ったユーリの世話をかいがいしく焼いている様子は微笑ましいです。相変らず口ではツンツンしまくっているけど(笑)。膝枕は馬車の中だったんですねー。この辺がアニメとちょっと違う。


あと、今回は いつもは言われっぱなしのユーリが、「同じくらい心配した」と言っていて進歩だなぁと思いました。でも総合的に見てコンラートに負けてる…というか報われてない気がします。がんばれ82歳。


前回の夜這いに引き続き今回のラストでもヴォルフラムさんが真性ほもかと思わせるような事をするのでどぎまぎ。ほんのりぼーいずらぶ風味なら まだしも(ギュンターはガチだと思ってますが/笑)、そういう覚悟をして読んでいないと非常に戸惑います。覚悟してない、というより期待してない の方が正しいかな。


でも、今作の終わり方は好きです。
きれいにシメたなぁと読み終えた後にため息が出てしまいました。