PLUTO 3巻 / 浦沢直樹
- 作者: 浦沢直樹,手塚治虫,長崎尚志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/03/30
- メディア: コミック
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土曜日の王様のブランチ内の人気コミックランキング1位が「20世紀少年」の最新刊で、その流れで ぷち浦沢直樹特集をやっていましたね。ご本人も出演なさっていて、しかも撮影してるのはお仕事場。ネームと生原稿がちらちら映っててわざとらしいけど、ちょっと画面に見入ってしまった(苦笑)。
「20世紀少年」をメインで扱って、その後 同局で近日放送予定の特別ドラマ「Happy!」の番宣もかねていたようです。
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・* 以下ネタバレ *・
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で、本作「PLUTO」第3巻。
まずエプシロンさんが男性(型)だったのに驚きました。5人がモニタに映し出されてたシーンで女性(型)だと思い込んでいたらしい。ちょっとショック。
アドルフ氏の父親の回想シーンは、切なかった。
陳腐な表現になってしまうけど「事情を察する」とか「同情する」といったブレを持たない警察官ロボットによる「判断」で、自分たちの目の前で、そして多勢の他人の前で、盗みを働いたのは父親である と、突きつけられて幼い兄弟には深い傷とロボットへの負の感情が残ったのでしょう。
あれが当時の技術、資金力の問題か、それとも敢えてシンプルなものを使ったのかは謎ですが、現代のパートでも淡々とした応答しかしない情報開示局のシステム(のお姉さん)、円滑なクレーム対応のできない搬入用ロボットなどなど「融通の効かない」存在である事を示す描写が多々ありました。
対比的なのがアトムとウランの会話。
考えて唸る(意味を成さない音を発する)、婉曲する、ごまかす、茶化す…コミカルに描かれる彼らの会話に「人間らしさ」、ひいては子どもらしさが感じられて微笑ましい。ゲジヒトさんと奥さんだって、捏造された(可能性のある)過去に対して、人間と同じように悩み、不安に思うシーンがありました。
アドルフ氏が屈辱なのは、兄が非道な殺され方をされた事ではなく、ロボットによって殺されたという点のようですが…だったら余計に、ひとりで仇討ちするのは得策じゃないように思います。いやKR団のやり方が好きなわけじゃないけども。
そう言えば、彼の所属しているKR団の集会では「機械に死を」と謳っていますが、その「生と死」の感覚を機械にも適用させているあたりが、とても矛盾しているように思いました。世界ロボット人権法のもとで長く暮らしてきたせいかな。
「殺し」ではなく「破壊」と言い切ったアドルフ氏が、エプシロンとゲジヒトさんの密会現場に居合わせて、何か考えてくれるといいのですが。
それにしてもウランちゃんが可愛いです。めろめろ。
お部屋も素敵にメルヒェン。一度カラーで見てみたいです、あの部屋。